植物組織培養から生まれた次世代QS 21
QS 21はサポニンをベースとするアジュバントシステムに使用されます。QS 21は、樹皮にサポニンを豊富に含むシャボンノキ(Quillaja saponaria Molina)を原料とし、ヒト用ワクチンに利用されています。しかし、従来より樹皮からの採取が続いたため、原産地であるチリは、規制によりシャボンノキの利用を制限するようになりました1。そのような中、自然に対するプラスの貢献を目指す当社としては、環境に優しい次世代QS 21を提供することで、世界規模でのサステナビリティに貢献できることを誇りに思います。この次世代QS 21は植物組織培養から生成されるため、効率的で、持続可能なワクチン製造に貢献します。
より持続可能なワクチンの未来をつくる
サポニンという名称はラテン語の「sapo(セッケン)」に由来し、水中で泡を形成する植物成分です。キラヤ科(Quillaja)のサポニンには強力な免疫刺激作用があります。このサポニンは細胞性免疫と液性免疫の両者を活性化させるため、ワクチンのアジュバントシステムの成分とし広く使用されてきました。
Quil-Aは未精製のキラヤ抽出物で、100種を超えるサポニン成分の混合物を含有し、主に動物用ワクチンに使用されます。ヒト用ワクチンにはQS 21の高純度画分が使用されます。これは帯状疱疹、マラリア、RSVなど数種類の革新的な認可済みワクチンで、その効果が認められています。
持続可能なQS 21の供給
しかし、キラヤの木の希少性が課題になっています。樹が成長して価値のあるキラヤの樹皮が採取できるようになるまで25年かかるため、生態系への懸念が生じ規制が厳格化されました2。チリの法律ではキラヤの森林伐採が禁じられており、伐採に特別な許可を必要とします3。このため、市場では樹皮ではなくバイオマスを利用する方向に動き出しています。
樹皮抽出物の量は減少傾向にあり入手が困難なため、より持続可能な代替品を求める動きが始まっています4。当社はBotanical Solution Inc.社と提携し、次世代QS 21を提供できることを誇りに思います。特許取得の植物組織培養法によるR&Dプラットフォームを用いることで、大規模供給可能で、一貫性のある、より持続可能なQS 21を提供できるところまできています。このことを通じて、当社はワクチン開発における次世代のアジュバントの生成を支援します。