専門家によるQ&A-Stephen Rumbelow博士:業界がより良い医薬品添加剤を必要とする理由
非経口デリバリー用薬剤の製剤設計には、それなりの課題が伴います。非経口生物製剤には、光や熱への曝露のような外的要因だけでなく、これらの大型で複雑な薬剤では、さまざまな化学種への曝露によって分解されやすい傾向があります。このため、このような用途では通常、薬剤を安定化させ、そのデリバリーを助けるために、極めて純度と機能性の高い医薬品添加剤が必要とされます。Croda PharmaのSuper Refined™高度精製医薬品添加剤シリーズは、このことを念頭に置いて設計されています。クローダは、医薬品添加剤と可溶化薬剤のいずれの酸化安定性も向上させる、極めて不純物の少ない化学物質を幅広く提供しています。Croda Pharmaのライフサイエンス研究員であるStephen Rumbelow博士が、Drug Development & Delivery誌のインタビューに応じ、注射剤の薬物分子の安定化に使用される重要な医薬品添加剤、ポリソルベートについて語りました:
Stephen、生物製剤処方におけるあなたの経歴と、顧客との関わりについて教えてください。
はい。クローダのライフサイエンス研究フェローとして、企業、大学、研究機関との外部協力関係の構築を開発コストが高く、分解されやすい生物学的APIの有効性が失われるリスクを考慮すると、これは非常に重要です。 たとえ追加の微生物学的検査が実施されていたとしても、標準的な公定書グレードのものではなく、高純度グレードを使用することをお勧めします。なぜなら、医薬品添加剤に含まれる不純物は、さまざまな形でAPIと製剤の安定性に影響を与える可能性があるからです。これは、多くの査読付き科学論文で強調されているテーマです。製剤設計者は、酸化劣化を引き起しかねない残留過酸化物や、そのような反応を触媒し得る金属などの不純物に特に注意を払うべきです。 残留アルデヒドもまた、アミノ酸上のさまざまな反応基と反応し、効能を損なう可能性があります。 最後に、残留遊離脂肪酸の濃度は、沈殿物の形成開始を決定する上で重要です。これは濁りの発生に繋がり、最終的にはそのロットの製品が不合格になる可能性があります。このような医薬品添加剤の不純物の問題には、適切に管理された加工条件に加え、高純度の出発物質を組み合わせることで、うまく対処できることが広く認知されています。クローダのSuper Refined™シリーズの場合、独自の最終精製段階を加えることでこれらの不純物レベルをさらに大幅に低下させています。Super Refined™高度精製医薬品添加剤は、生物製剤だけでなく、APIの安定性が最大の懸念となる製薬業界の多くの応用分野で広く認知され、使用されています。担当しています。 以前は、クローダのイノベーションサポートチームと製薬チームの研究・技術担当マネージャーとして、製薬業界向けの新しい高純度医薬品添加剤の開発を担当する製薬チームを管理していました。 この仕事には、乳化剤・分散剤から溶剤・透過促進剤に至るまで、あらゆる主要なデリバリー経路や用途の製品が関係しています。チームはさらに、このような用途に付随する性能と使用のデータ作成にも、医薬品添加剤の純度が薬物のデリバリーと性能に及ぼす影響に特に重点を置きつつ積極的に取り組んでいます。 クローダのイノベーションサポートチームは、クローダ社内の他事業のサポートとともに、これらの活動を密接に支援しています。最近の職務では、製薬業界の大手企業との多数の共同プロジェクトに積極的に取り組んでおり、注射剤におけるポリソルベートの使用に関するさまざまな側面をカバーしています。顧客との共同研究では、医薬品添加剤の純度が製剤の安定性に与える影響や、この用途に類似原材料に対する医薬品添加剤の性能のベンチマーク化といった分野に重点を置いています。クローダは、がん治療用を始めとする注射剤に使用される原材料も多数供給しており、APIの安定性における医薬品添加剤の純度の重要性を実証する数多くの研究に携わってきたことは、注目に値します。 さらに、Avanti Polar Lipidsの買収により、クローダのポートフォリオと専門知識は、低分子からペプチド、遺伝子治療薬まで、幅広いAPIのニーズに対応し、脂質によるデリバリーの分野で大幅に拡大しました。
クローダはポリソルベートの製造で知られていますが、ポリソルベートは非経口用途でどのように使用されていますか?
ポリソルベート20および80は、安全な使用の長い実績があるだけでなく、FDAの注射剤用途の不活性成分データベース(IID)リストに収載されており、通常、0.001~0.1%の濃度で生物製剤に使用されています。 注射で投与されることの多い生物製剤の場合、このように非常に低い濃度であっても、タンパク質の界面ストレスに対する効果的な安定剤として業界でよく認識されています。このようなストレスは、空気/液体界面(特に振とう)、表面相互作用(処理装置やバイアル自体の内部表面との相互作用)、さらには氷/液体界面(凍結/融解プロセスで遭遇する可能性あり)など、さまざまな原因で発生する可能性があり、これらすべてが表面吸着、タンパク質凝集、沈殿を引き起こす可能性があります。ポリソルベート類は、このような問題を軽減するだけでなく、治療用タンパク質を安定化させ、凝集を防ぐ能力においても非常に効果的です。同様に、これらの医薬品添加剤の界面活性特性は、凍結乾燥製剤の再溶解を促進する上でも、湿潤化と、塊状化・凝集防止の両面で非常に効果的です。
医薬品添加剤のグレードが製剤の安定性に与える意味について教えてください。
開発コストが高く、分解されやすい生物学的APIの有効性が失われるリスクを考慮すると、これは非常に重要です。 たとえ追加の微生物学的検査が実施されていたとしても、標準的な公定書グレードのものではなく、高純度グレードを使用することをお勧めします。なぜなら、医薬品添加剤に含まれる不純物は、さまざまな形でAPIと製剤の安定性に影響を与える可能性があるからです。これは、多くの査読付き科学論文で強調されているテーマです。製剤設計者は、酸化劣化を引き起しかねない残留過酸化物や、そのような反応を触媒し得る金属などの不純物に特に注意を払うべきです。 残留アルデヒドもまた、アミノ酸上のさまざまな反応基と反応し、効能を損なう可能性があります。 最後に、残留遊離脂肪酸の濃度は、沈殿物の形成開始を決定する上で重要です。これは濁りの発生に繋がり、最終的にはそのロットの製品が不合格になる可能性があります。このような医薬品添加剤の不純物の問題には、適切に管理された加工条件に加え、高純度の出発物質を組み合わせることで、うまく対処できることが広く認知されています。クローダのSuper Refined™シリーズの場合、独自の最終精製段階を加えることでこれらの不純物レベルをさらに大幅に低下させています。Super Refined™高度精製医薬品添加剤は、生物製剤だけでなく、APIの安定性が最大の懸念となる製薬業界の多くの応用分野で広く認知され、使用されています。
ポリソルベートの組成が製剤の安定性に与える意味について教えてください。
モノクローナル抗体の生成に使用されたCHO細胞ベース培養物由来の残留リパーゼは、生物製剤の懸念事項の一つとして報告されています。その後、特定の状況下でポリソルベートの加水分解が起こることがあるからです。ポリソルベートは、その製造の性質上、化学種の複雑な混合物です。天然由来の糖と脂肪酸をベースとし、エトキシル化が起る多段階プロセスを経ます。ポリソルベート20の場合、この加水分解がかなりの程度まで進むと、高分子量(C14超)の脂肪酸が相当な高濃度で遊離することがあります。この脂肪酸は水溶性に乏しいため、析出して濁りにつながることがあります。しかし、リパーゼの残留を最小限に抑え、遊離脂肪酸の残留量が少ない適切なグレードと純度のポリソルベートを選択することでこのような問題のリスクを最小限に抑えられます。
本質的には複雑ですが、適切に製造管理と一貫した品質の原材料の選択により、ポリソルベートを高い再現性で製造することは十分に可能です。このことは、個々のロットの分析証明書からだけでなく、より高度なクロマトグラフィーや分光技術によっても、組成のかなり詳細な情報を容易に確認することができます。Super Refined™ポリソルベートは、このような条件を念頭に置いて製造されており、ロット間の一貫性にも大いに役立っています。さらに、このリスクをさらに最小化するために脂肪酸濃度の分布を調整したポリソルベート20と80の特注グレードを製造することも可能です。そのような製品は現在ご利用可能です。
注射用製剤に使用される原材料の取り扱いについて、ベストな方法はありますか?
ポリソルベート、さらに、高純度医薬品添加剤を注射用製剤に使用する場合の取り扱いに、いくつかのベストプラクティスがあります。 これらの製品は通常、高品質を保ち劣化から保護するために、窒素下で密封された容器で供給されます。したがって、可能であれば一回の使用ですべての原材料を完全に使用できるよう、適切なパッケージサイズを選択されるといいでしょう。高純度で高度に差別化された製品では通常、これに対応してさまざまなサイズのパックが用意されています。クローダは、250グラムのボトルから、さまざまなパッケージで原材料を提供しています。開封済みの製品容器を保管されたいユーザーには、窒素を再散布するよう強く推奨しており、その効果的な実施方法について詳しい手順をご提供できます。 この点は、この特殊な応用分野でこれらの原材料を扱う際に最も重要な検討事項のひとつです。さらに、これらの製品は通常、光への曝露を防ぐために金属製の容器で提供されており、元の容器で保管することを推奨します。また、高純度の基準を満たすように製造された高品位の医薬品添加剤を二次容器に移し替えることは、医薬品添加剤の品質が損なわれる可能性があるためお勧めしません。
ポリソルベートには非経口領域で使用されてきた長い歴史がありますが、ポリソルベートを使用しない状況はあるのでしょうか?
ポリソルベートが生物製剤に使用できない状況は認識していませんが、安全で効果的な使用について長い実績があることに留意すべきです。 業界では代替化学物質の検討に関心が持たれていますが、その有効性や多機能性には疑問が残り、そのような原材料はFDAの承認プロセスを経る必要があるでしょう。